miageru.で作品をお取り扱いいただいている作家さんにご協力いただき、インタビューを通してものづくりの魅力に迫ります。
テーマは「作家の道具と材料」。
本日はカラフルな色使いや、個性的な絵付けの作品が人気の「のん窯」さんにお話をお伺いしました。
微調整を重ねながら練る土
ーこれが材料の土ですね!色の違う土を混ぜているんですか?
そうですね。信楽や瀬戸の土3種類を混ぜて使っています。
土によって焼き締まる温度が違うことや、土の可塑性(かそせい)という、作りやすさのようなことを調整するために、この土を混ぜて使っています。
また、釉薬によって配合の割合を替えています。
白い釉薬の器には白土多めに、織部やアメ釉の時は赤土多めにすると同じ釉薬でも発色がよくなります。
ーそうなんですね、全部同じ土を使っているのかなぁ、と思っておりました!やはり、混ぜるのは大変ですか?
土練機(どれんき)がないので、少しずつ手で練ります。じんわり汗かき、唯一の運動です!
完成まで、待つ時間と作業を繰り返す
ー1つの作品を作り上げるまでに、どれくらいの工程があるのですか?
例えば、マグカップを作る場合だと、だいだい10以上の工程が必要ですね。
- 土を練る(20分)
- ロクロで成形(1コあたり5〜10分)
- 半乾燥(冬は丸1日くらい、夏は半日)
- 削り(1コあたり5〜10分)
- 取手をつける(1コあたり5分)
- 乾燥(冬1週間くらい、夏3日くらい)
- 素焼き(7時間)
- 窯が冷めるまで1日半くらい
- 絵付け、釉薬をかける(1コあたり10〜15分)
- 本焼き(10時間)
- 窯が冷めるまで1日半くらい
ー待つ時間も、かなりあるんですね。そういえば、納品していただく際「窯が冷めるのが何日ころなので〜」というお話をされていたのは、こういうことだったんですね。成形や削りの作業には、どんな道具を使っているのですか?
こちらは「コテ」という道具です。
主にロクロで成形する時に使います。器の内側のカーブするところに当てたり、手のあと(ろくろ目)をつけたくない所にあてて表面にを滑らかにしたりします。
ちなみに自作で、壊れたりんごの木箱から切り出して作りました。
ーりんご箱から!青森らしさが溢れる道具ですね。
ふふふ、道具にも、ちょっとだけ青森らしさを出しています。
また、こちらは「カンナ」という道具で、成形したものを半乾きにさせてから、高台を削り出したり、厚いところを削るために使います。
ーもしかして、こちらも手作りだったり・・・?
実はそうなんです。
写真にある細長い鉄を曲げて削って作ります。
使う度に刃の部分を研ぐのでだんだん細くなってきたら先端を折ってまた曲げて削って使います。
最前列で、使ってほしい
ー最後に、作品を制作する上で、一番気をつけていることはなんですか?
作品によって気をつけることは違いますが、器は使いやすさと洗いやすさと、収納のしやすさです。
自分が家事に関してマメなタイプではないため、扱いづらいものは食器棚の奥にしまいっぱなしになる傾向があります。なので自分で作るなら主婦目線を活かして食器棚の最前列でガシガシ普段使いされるものをと思っています。
あとは、重さをけっこう気にします。
以前は軽ければ軽いほどいいと思っていましたが、欠けやすかったりモノとしての存在感も薄いような気がしました。カップならカップらしい重さ、お皿ならそのお皿らしい重さがあって、ちょうどいいのが一番いいな、と気がつきました。
ーのん窯さんの作品は、miageru.でもリピーターのお客様がとても多く、みなさん少しずつ揃えることをとても楽しんでくださっていて、私もいつも嬉しい気持ちにさせていただいています。
今年は新しい作品作りにも取り組まれるんですよね?
そうですね!りんごの木の灰を使った釉薬を試しているところです。新しい作風にも、どんどんチャレンジしていきたいと思います。
ー新しいシリーズも、楽しみにしています!本日はありがとうございました。